ヤクシカプロジェクト

 鹿1頭分の1枚革を見せたときに、「あぁかわいそうに」という言葉を聞いたことがある。はたしてそうだろうか。私は食用として生まれてきた牛や豚の方がよっぽどかわいそうだと感じる。

 このたび取り扱わさせていただいているのは、自由に生活して人間の生活圏を圧迫、世界遺産の自然を破壊している屋久島に生息する野生の鹿、ヤクシカである。このヤクシカの問題については、様々な分析がされ、屋久島は明らかに生息密度が高すぎるという数値が出ているそうだ。インターネットでもいろいろと公表され、問題視されている。

シカ害に悩む世界遺産「屋久島」:さあ、どうするか?

屋久島の森が危ない!ヤクシカによる深刻な被害

 この屋久島で、鹿の害を食い止めるために活動しているヤクニク屋さんと今年の夏に出会い、鹿の革を1枚送っていただいた。1頭の鹿の革で作れる作品が写真のとおり。

 ヤクニク屋さんは命を大事にいただく活動をされており、食肉、ペットフードの加工を手掛けている。屋久島でワンコ用のジャーキーを買うためにペットフード販売店「ペットワン」に立ち寄った時に、店頭に鹿の革が数色展示されていたのに驚いて、無理を言って1枚送っていただいた。この鹿革は結構傷が入っている。さすが野生の鹿である。でもこれはとても味がある傷で、世界に2つとない作品になる。

 第1弾は展示用の作品を制作し、現在屋久島の店頭に並んでいる。

第2弾

 しばらくしてヤクニク屋の担当者から連絡を頂き、5枚分販売用に制作しませんか?というご提案を頂いた。

 作ってみたい5色を指定して、出来上がった革がタンナーから直接送られてきた。

試作

届いた5色の鹿革でサンプル用のキーホルダーを制作してみた。環境にやさしい植物タンニンでなめしたヌメ革なので、当工房のコンセプトにもマッチしていてとても加工しやすい。明るい色ではなく渋い色味でとてもいい感じに仕上がる。

ペットグッズ

11月18日~20日に鹿児島中央駅前で開催される「まるごと特産品フェア」の熊毛奄美特産品フェアで出品する鹿革ペットグッズを制作。

今回はお散歩用リードと首輪を制作した。イベント終了後は屋久島で販売予定である。